documentary photographer
ETSUSHI KAMINAGA
写真の旅
世界を旅し、写真を撮るだけなく、現地の人たちと写真で一緒に楽しもう!!というコンセプトで、撮影した写真を現地の人たちにプレゼントしながら世界を歩く「写真の旅」をしている。
ある日、発展途上国を旅し、貧しい家の子供たちは自分の写真を1枚も持っていないという事に気づく。
日本では、写真は誰でも持っていて当たり前の存在かもしれないが、そうでない国もたくさんある。
ポラロイドカメラで撮影した写真をプレゼントすると…
子供たちは目を輝かせながら写真を眺め、その辺に落ちている、くちゃくちゃになった新聞紙で写真を包み大事そうに家に持ち帰っていった。
落ちている新聞紙が綺麗かどうかはさておき、何かに包みたくなるくらい大切なモノとして扱ってくれたのだ!!
とても嬉しかった。
写真は、その時、その瞬間をそのまま残す事が出来る素晴らしい存在。
今の自分を残してくれる最高の道具。
歳をとってから、その写真を見て当時を思い出す、タイムマシン的な存在でもある。
旅が終わり、ふと思い出した時に、写真を見返すと、心の中のアルバムと写真がリンクし、その前後の出来事や風景など忘れかけていた想い出を蘇らせてくれる。
この子たちも、そんな出来事がいつか来るだろう。
10年後20年後、大人になった時、その写真を見て、こんなおかしな日本人がいたな〜と思い出してくれたら、なお嬉しい。
言葉は通じなくても写真を通して、その国の人と交流が出来るということをすごく嬉しく思う。
カメラに興味をもってくれた子供たちには、実際にカメラで遊んでもらい、その楽しさを肌で感じてもらえるスタンスを取っている。
一方的に撮影するのではなく、写真の楽しさを知らなかった人たちまで知ってもらえ、共有共感してもらえる事を嬉しく思う。
今後も、世界の人達とコミュニケーションを取るツールとしてカメラ「チェキ&pivi」を使い旅をし続ける。
現在、延べ2000人以上の人たちに写真をプレゼントし、たくさんの人たちと交流をし旅をしている。
その様子は、【写真の旅photo】に載せてあります。よかったら是非ご覧下さい。
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以前、旅雑誌の掲載依頼があり書いた文章です。
書き終わった後、結局その話しがお流れになってしまい、世に出る事が無くなってしまった文章です。
ちょっと長いノンフィクション文章ですがよかったらご覧下さい。
カメラはすごいパワーがある。世界の人たちとこんなにも近づけるのだから!!
そう思えるようになったのは、初の1人旅に出たその日からだった。
俺は自由を求めフリーターになった。
朝起きて、バイトして、夜は酒を飲んで寝る。
こんな毎日でもわりと楽しく過ごしていた。
でも、何かが足りない。
何か刺激が欲しい!!
普段出来ない事をしたい!!
そんな事を思っていたある日、バイト先で貰った1台のポラロイドカメラ…
そこから俺の人生は変わった。
普段デジカメばかりで撮影していた自分が、手にしたポラロイドカメラは何だか新鮮だった。
デジカメは何回撮ってもやり直しが利く。
でもポラロイドカメラは1発勝負!!
まるで人生みたいだ!!
俺はこのカメラを持ってどこか遠くへ行き、知らない街の写真が撮りたくなった。
そうだ!!
バイトを長期休暇し、好きな写真を撮りまくろう!!
俺の奥底に眠るカメラ好きの心が騒いだ。
でも、ただ写真を撮るだけでは、なんだか物足りない。
そう思った俺は、海外行きのチケットを調べていた。
正直迷いはあった。
英語喋れないし…引っ込み思案だし…マフィアに連れ去られたらどうしよう……
不安な事を上げたらキリがないくらい不安だらけであった。
でも、それより俺は刺激が欲しかった!!
行けば何かがはじまる!何かが変わる!!と思い、
宿も決めずチケットだけを頼りにインドへと飛んだ。
友人から「宿ぐらい決めていった方がいいじゃないの!?」と言われたが…
俺は決められたレールに乗るのが嫌だった。
だって自由がいいじゃん!!
空港での搭乗手続き、A窓口だのBだのCだの、なんだかチンプンカンプン!!
俺はすでにインドの地を踏む前につまずいていた。
先行き不安である。
インドの空港に着いてから、預けた荷物はどこで受け取ったらいいのか分からず、
受け取り場所を見つけた時には俺の荷物だけがレーンの上を回っていた。
はたして俺の荷物はレーンを何周していたのか…気になるところだ(笑)
ガイドブックを片手に宿を探す…
小学生レベルの英語とジェスチャー、言葉なんてほとんど伝わらない。
得意の愛想をふんだんに使い、なんとか宿を確保!!
この時、こんな俺でも宿が取れる!!
意外と海外でもやっていけるんじゃないか!?と、ちょっと変な自信がついた。
今考えれば、その時の俺はかなりポジティブ人間になっていた。
ただ宿が取れただけなのに…(笑)
それから、外に出て好きな写真を撮っていった。
街中を撮影していると子供たちが、俺を撮って撮ってと近づいてきた!!
現地の言葉はもちろんの事、英語も喋れない俺は、とりあえず、
デジカメで写真を撮っては見せ、撮っては見せを繰り返していた。
すると、徐々に子供たちとの距離感が近付いていった。
英語が喋れない俺が、カメラ1台でこんなに打ち解けられる事に、ワクワクした。
引っ込み思案な俺が、好きなカメラがあると自然と積極的になっていた。
言葉が通じないのに、心が通じ合っている!!
そんな気がしていた。
ポラロイドカメラを取り出し、子供たちに撮った写真をプレゼントした。
みんな「おーーージャパンテクノロジー」と言って大はしゃぎ!!
確かに撮った写真がその場で出てくるポラロイドカメラは、知らない人が見たら
未来の機械に見えたのかもしれない。
子供たちにカメラを渡し、実際に写真を撮って楽しんでもらった。
すると、街中の人たちの鋭い視線が俺に集まっていた。
どこからともなく集まってくる人、人、人…
次は私を撮ってくれ!!次は私を撮ってくれ!!!と俺は、この一帯の人気者になっていた。
途絶える事のない人だかり。
数人で楽しんでいた輪が徐々に大きくなり、
俺を中心に100人以上は集まっていた。
街中に突如現れた人の群れに大丈夫だろうか!?と俺は不安だった。
数分後、不安は的中した。
この人だかりは何事かと警察が来たのだ!!
人ごみを掻き分け警察が俺のところへ…
もちろん怒られるだろうと思っていた。
が……次のひと言にビックリ!!
「俺を撮ってくれ!!」
おっ!!民衆を掻き分け登場した警察官が「俺を撮ってくれ!!」だと!?
正直、耳を疑った。
まぁ〜ここはインドだし…と思いながらも写真を撮りプレゼントした。
警察官はしっかりとポーズを取り最高の笑顔で写真に写った。
いつの間にか俺は、写真でコミュニケーションをとる事が旅の楽しみになっていた。
そんなある日、写真を貰って喜んでくれた少年が「家に遊びに来ないか!?」と誘ってきた。
俺は興味津々だった。
自分の知らない世界の人たちは、どんな生活をしているのだろうかと…
子供がいきなり外国人を家に連れてきたら親はビックリするだろうなと思いながらも、
好奇心から俺はその少年の後をついていった。
家に着くと親も意外とウェルカムな感じ!!
少年は自慢げに撮った写真を母親に見せていた。
母親は、はしゃぐ子供の姿と写真を見て満面の笑みだった。
写真1枚でここまで喜んでもらえる事がとても嬉しかった。
でも、家に遊びに来たものの、言葉なんてほとんど伝わらない。
そこで活躍したのがカメラである。
写真を撮って遊んだり、写真に落書きをして遊んだり、シールを貼って遊んだり、
言葉はほとんど喋れないが、自然と心が通じ合っていた。
しばらくすると、お母さんが部屋を出てどこかへ行ってしまった。
もう写真に飽きてしまったのかな〜と思っていると…
なっなんと!!
お母さんは衣装をチェンジして登場してきたのである!!
思わず、二度見しちゃったよね。
いきなり着替えてくるから、誘ってきたのかと思っちゃったよ(笑)
おそらく、一張羅なのだろう。
綺麗に撮ってね!とばかりに、こちらに微笑みかけた。
会話は、ほとんど無くても途絶える事のない笑い声。
なんだか俺は、ネイティブスピーカーになり会話を交わしているかの様に楽しんでいた。
現地の言葉は喋れないのに、ここまで打ち解けられるカメラは本当にスゴい。
内気な俺が、ここまで心を開く事が出来たのは、
カメラが自分を表現出来る1つの手段なんだろうなと思った。
夕食までご馳走してもらい、家族の温かさを感じながら
とても楽しい時間を過ごす事が出来た。
旅を続けていくうちに、1つ気づいた事があった。
それは、貧しい家の子たちは自分の写真を1枚も持っていないという事だ!
ポラロイドカメラで撮影した写真をプレゼントすると…
子供たちは目を輝かせながら写真を眺め、その辺に落ちている、
くちゃくちゃになった新聞紙で写真を包み大事そうに家に持ち帰っていった。
落ちている新聞紙が綺麗かどうかはさておき、
何かに包みたくなるくらい大切なモノとして扱ってくれたのだ!!
カメラ1台、写真1枚でこんなにも仲良くなれた事がうれしかった。
そして、俺の中である思いが生まれた。
俺は、誰でも小さい頃の写真は1枚ぐらい持っていてほしいという願いがある。
そして、大人になった時、その写真を自分の子供に見せて
「お父さんが小さい頃はこんなんだったんだぞ」と昔を懐かしむモノを残して上げたい。
日本では、写真は誰でも持っていて当たり前の存在かもしれないが、
そうでない国もたくさんある。
写真は、その時、その瞬間をそのまま残す事が出来る素晴らしい存在。
今の自分を残してくれる最高の道具。
歳をとってから、その写真を見て当時を思い出す、タイムマシン的な存在でもある。
10年後20年後、大人になった時、その写真を見て、こんなおかしな日本人がいたな〜
と思い出してくれたら、なお嬉しい。
カメラは、すごいパワーがある。世界の人たちと、こんなにも近づけるのだから…
以前は、世界を周わるのには、ツアーで添乗員付きの団体行動でしか行けないと思っていた。
そんな大変なものじゃない!誰だって簡単に1人で行けるのさ!!
1歩があれば自然と2歩目がついてくる!!
その、動き出した足跡は記憶として一瞬、一瞬を心のアルバムに残してくれる。
旅が終わり、ふと思い出した時に、写真を見返すと、
心の中のアルバムと写真がリンクし、
その前後の出来事や風景など忘れかけていた想い出を蘇らせてくれる。
「カメラ」と「写真」はいつも俺にパワーをくれる。
カメラってすごいな!!写真ていいな!!旅っていいな!!
旅は生きる事と同じで、筋書きの無いストーリー
何が起こるか分からない。何が手に入るか分からない。
その中で、俺はお金で買えることの出来ないものをたくさん貰った。
俺は、これからも探し追い続ける!カメラを片手にたくさんの出会いを!!
執筆者 ETSUSHI KAMINAGA